ボリビアの喧嘩祭り!?ティンクについて丁寧に解説してみた

Tinku ティンク(Tinku)
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こんにちは、Ponmigo(ポンミーゴ)です。

今回はボリビアの豊作祈願の儀式で、喧嘩祭りとも呼ばれている、ティンク(Tinku)について解説していきたいと思います。

 

ティンクとは?

ティンクは毎年5月2日と3日にボリビアのポトシ(Potosí)県で行われる豊作祈願の儀式を指します。また、ティンクは流血の犠牲を伴う戦闘を意味しているとも考えられます。

 

ティンクはケチュア語「出会い」「結合」「バランス」などを意味していますが、アイマラ語では「戦闘」「攻撃」などの意味もあります。

ケチュア語もアイマラ語もボリビアの先住民族によって話される言葉です。

伝統的な観点から見ると、ティンクは儀式であり、分離するのではなく、一体化させるものだといえます。その理由としてティンクの戦いはどちらかがどちらかを潰したりするのではないことが挙げられます。

対決は「死」のためではなく、「生」のためにあると考えられています。というのも、敗者の流した血は生贄とされ、母なる大地を肥やし、将来の収穫を得るための供物とされると考えられているからです。

 

また、「ティンク」は一種の社会的規制であり、部族が他の部族との違いや争い(土地の共有や個人的な対立など)を解決するためのものであると考えられる場合もあります。

ティンクは戦闘だけど、必ずしも悪いものではないんだね

この儀式では警察までもが介入する!?

数年前までは、ティンクのイベントでの過度のアルコールと暴力行為により、ボリビア警察が介入し、祭りを規制していました。

近年は観光イベントとして定着していますが、衝突はとても激しいものなのでその際には警察が立ち会い、死者を出さないよう配慮しています。

 

また、戦いの終盤になると戦闘が集団衝突に発展してしまうため、警察が介入して催涙ガスで参加者を解散させることも少なくありません。

都市部から離れた一部の部族では警察の監視がなく、集団入り乱れての殴り合いや、投石なども行われ、非常に危険です。

 

ティンクが始まったのは川の使用権争いから?

ティンクの中で最も有名なのは、この地域の住民約3000人が集まる高原の人里離れた小さな村、マチャ(Macha)で行われるものです。

マチャは当時、この地域で最も人口の多い都市であり、武士たちが集まって戦争のデモストレーションを行ったことから、この地でティンクの儀式が始まったことがうかがえます。

インカ帝国がこの地を植民地化したとき、皇帝は自分の個人的な護衛をカラカラ(Qaraqaras)族の戦士にすることを望みました。そのため、戦いの勝者はインカ皇帝の護衛として採用されることとなりました。

 

やがて、戦技の実演は宗教的な儀式にもなり、男たちの血を「母なる大地」と呼ばれている「パチャママ(Pachamama)」に捧げて豊作を願うようになりました。

 

この地域はもともと乾燥地帯であり、水が少ないため、各部族は農作物を最大限に増やすために、川の使用権をめぐって絶えず争っていたいました。

なのでティンクの戦いで勝利した地域は、1年間、川を利用することができる権限をもたらされました。この川の使用権や地域の支配をめぐる争いは、常に死者を出していました。



ティンク儀式の変化

ティンクの儀式は時代とともに少しずつ変わっています。

現在では、5月3日のカトリックの「聖十字祭」の祝日にティンクの儀式が行われています。

ですが、実際には5月2日にも前祭としてイベントがあります。

 

それぞれどのようなことをするのかみていきましょう!

 

5月2日に行われること

5月2日の夜に各部族がマチャ村の広場に集まります。

 

すべての部族が一緒に踊りながら教会前まで行進し、その後男性も女性も、プーロ(Puro)と呼ばれる90度のアルコール、ビールチチャと呼ばれるトウモロコシのお酒を飲んで祝います。

そこで各部族が踊りやパレードを披露し、祭りは一晩中続きます。男性はこのイベントの伝統的な音楽を演奏し、女性はケチュア語でウアイニョ(huayños)を高らかに歌います。

この際、チャランゴ(小さなギターのようなもの)とザンポーニャのリズムで、村の通りをパレードします。女性が歌っている間、男性は彼女らの周りをぐるりと囲み、地面を踏み「どんどん」と音を立てながらリズムをとります。

 

5月3日に行われること

ティンクの戦闘は5月3日に始まり、男女ともに参加します。 他の部族と出会うと喧嘩がスタートします、戦いは、違う部族の2人が手と手を取り合って行います。

 

踊りはまず男女共に二つのグループに分かれ、お互いに相手を威嚇するポーズをとります。

ここで、男性は腰を低め、足を強く踏み鳴らし、腕をあげたり振り回したりし、女性の場合は腰をぶつけ合います。そして、相手の頭や胴体に触れるように拳で打ち合います。

目的は「血を母なる大地」に捧げることなので、血が出るまで殴ります。

なかには拳の中に石を入れて、より強い打撃を与える人もいるんだとか・・・。

 

最後に、殴り合いに勝ったグループの男性が再び大地を強く踏みしめ、腕を上げて勝利を宣言します。あくまでもティンクは儀式なので、戦いの後はお互いを讃えあったりし、ギスギスした関係になることはほとんどないそうです。

ですが、死亡者が出ることはあるそうです。

 

日本人の私からすると、この戦闘の文化を止めたくもなりますが、先住民の人々はもし死者が出なければ、パチャママ(Pachamama)への供物が十分でないと考える人もいるようです。

つまりティンクは、人権尊重というビジョンと、母なる大地と人間の交流というアンデスの世界観との戦いでもあることがわかるのです。

 

戦闘が終わった夜の間に、戦闘員たちはすべてを洗い、翌日には広場に誰もいないきれいな状態になります。

 

最近はカーニバルでも踊られている

かつてのティンクは暴力が特徴でしたが、最近は暴力から見せかけの喧嘩のダンスへと進化し、何千人もの人が踊り手や観客として集まります。

 

そして近年、ティンクは民俗舞踊として紹介され人気を得ているため、主な都市部のパレードやカーニバルで踊られています。

しかし、パレードに参加するのは、伝統的なティンクには属さない、都市の若者たちです。  このパレードでは、チャランゴなどの伝統的な楽器を使うのではなく、金管楽器で構成されたオーケストラが伴奏を務めます。

また、現在のティンクのダンスは、格闘技の種目と同じように、戦いを芸術的に表現した大衆芸能となっています。

ティンクの文化がより浸透しているというメリットもありますが、ティンクが本来の起源や意味から離れていっているという懸念もあるそうです。



ティンクの服装

ティンクの伝統衣装は、すごくカラフルで魅力的なものです。

男性の服は女性が作り、女性の服は男性が作ります。女性だけでなく、男性の衣装にも様々なアクセサリーがあります。

男性の場合、植民地時代のスペイン人たちの銅製のヘルメットをイメージした、モンテラという硬い革製のヘルメットをかぶり、シャツの上にベストのようなものを着ます。そして足は裸足かサンダルです。

一方で、女性は山高帽をかぶり、ポリェラを着ます。

 

ティンクの衣装には他にもさまざまな装飾があります。

それぞれケチュア語での名称がありますが、あまりにも専門的過ぎて私には説明ができないのでティンクの衣装の詳しい説明については割愛させていただきます。

 

ティンクの踊り方

ティンクの踊り方には特別な決まりはありませんが、全体的に上半身を前に曲げて踊る踊りが多いですね。

この動画では踊り方やティンク音楽の雰囲気を味わえますよ!

 

ティンクを演奏している代表的なグループ

ティンクの音楽を演奏している代表的なグループには、チラ・ハトゥン(Chila Jatun)ロス・カルカス(Los Kjarkas)カラ・マルカ(Kala Marka)などがあります。

 

なかでもおすすめなティンクの曲はチラ・ハトゥン(Chila Jatun)ムヘール・デル・カンポ(Mujer Del Campo)です。

ムヘール・デル・カンポは「あなたがいなければ死んでしまう。あなたの横に居れると幸せ」と歌っています。なので、この曲はまさにラブソングだといえますね。

この曲は力強い声なのに、どこか包み込むような歌声です。また、歌詞のリピートも多いため、スペイン語練習にももってこいだと思います。

 

ちなみに、この曲名「Mujer Del Campo」にはスペイン語で「田舎の女性」という意味があります。

 

まとめ

ティンクはボリビアの「喧嘩祭り」とも言われている豊作祈願の儀式です。

 

私の勝手なイメージのなかでは音楽ジャンル、もしくはダンスジャンルという認識でしたので、儀式だとは思いもしませんでした。

ですが、踊り方などを思い返してみると、確かに喧嘩してそうな感じもします^^;

 

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