こんにちは、Ponmigo(ポンミーゴ)です。
このブログでは、ラテン音楽とラテンダンスについて紹介しています。
「チリミア」ってどんな音楽ジャンル?
伝統的なコロンビア音楽に興味がある!
コロンビアの太平洋沿岸のリズムや楽器に触れたい!
今回は、コロンビアの太平洋沿岸地域にルーツを持つ、音楽ジャンル「チリミア」について詳しく紹介します。チリミアは、単なる音楽ジャンルではなく、コロンビアの民俗音楽として、その地域の文化やアイデンティティと深く結びついています。そのため、コロンビアの伝統音楽に興味がある方にもラテン音楽の奥深さを知りたい方にもぴったりの記事ですよ。
チリミアとは?
「チリミア(Chirimía)」は、コロンビアの太平洋沿岸地域、特にチョコ地方(Chocó)やカウカ地方(Cauca)で生まれた音楽ジャンルです。これは元々は、サン・フアン川の河口近くに住んでいた先住民たちの間で演奏されていた音楽スタイルで、現在のコロンビアのポパヤン(Popayán)を中心とした地域に伝わりました。
また、チリミアの歴史は非常に古く、先住民の伝統から派生した音楽であり、コロンビアのアイデンティティに深く根ざしています。そのためチリミアは単なる音楽スタイルではなく、地域の文化や社会、さらには精神的な支えとしても重要な役割を果たしています。
さらに、チリミアの音楽は、楽器の独特の音色やリズムの力強さで多くの人々に愛され、今日に至るまで祭りや儀式の中で欠かせない存在となっています。
以下にチリミアの音楽動画を貼っておきますね。
チリミアのふたつの意味
「チリミア」という言葉には、実はふたつの意味があります。ざっくり言うと、ひとつ目はある楽器のことを指し、もうひとつはその楽器を使った音楽グループのことを指します。では、それぞれを詳しく見ていきましょう。
チリミア楽器
まず、ひとつ目は「チリミア楽器」です。チリミアの楽器は、12世紀のヨーロッパで使用され、15世紀末にはスペイン人によってアメリカ大陸に持ち込まれました。これはダブルリードを使った木製の管楽器で、この楽器の音色は非常に特徴的です。この楽器は、演奏者の喉の技術によって音の高さや強さが変化するため、熟練した奏者が演奏するチリミアの音楽は、非常に迫力があり聴く者を圧倒します。
この楽器はかつては太平洋地域で演奏されていたのですが、現代ではあまり見かけなくなっています。ですが、特にカウカ地域やポパヤンでは優れた奏者が多いとのことです。
音楽グループ
ふたつ目の意味は、この楽器を使った音楽グループを指します。そして、チリミアの音楽グループには以下のような楽器が使われます。
- チリミア(横笛): メロディーを担い、力強く、深みのある音が特徴。
- グアチャラカ(Guacharaca):伝統的な打楽器(竹の管楽器)で、音楽にダイナミズムを加える。
- タンボラ(Tambora):大きなドラムで、音楽に力強さを加える重要な打楽器。
- トライアングル:高音を担当し、リズムに華やかさを加える。
これらの楽器が融合して生み出す音楽は、コロンビアの伝統的な祭りや儀式に欠かせないものとなっています。特に、コロンビアのポパヤンで行われる「アギナルドス(Novena de aguinaldos)」などの祭りでは、チリミアの音楽が祭りの雰囲気を盛り上げます。
そして現在「チリミア」という言葉は、通常この音楽グループを指すことが多いです。
チリミアの歴史的背景
では、チリミアの歴史的背景についても見ていきましょう。
チリミアは、祭りの音楽として演奏されていただけでなく、軍事行進でも重要な役割を果たしていました。コロンビアのポパヤンの先住民たち、プベネンセス(Pubenenses)は、戦闘の際にも戦士たちの士気を高めるためにチリミアを演奏していました。戦士たちはチリミアの音楽によって、戦いにおける勇気と熱意を引き出されたと伝えられています。
このように、チリミアは戦場で戦士たちを鼓舞する力を持っていたことから、単なる音楽や楽器にとどまらず、精神的な支えとしても重要視されていたそうです。
現代のチリミア
近年、チリミアは再び注目を集めています。特に、ザペロコ(Zaperoko)というグループがその復興に大きな役割を果たしています。ザペロコは、2016年にコロンビアのカリで行われる音楽フェスティバル「ペトロニオ・アルバレス音楽祭(Festival Petronio Álvarez)」のチリミア部門で優勝したグループで、伝統的なチリミアの演奏に新たな風を吹き込んでいます。
彼らはオリジナルの楽器編成に加えて、ボーカリストを加えるなどして、独自のスタイルを生み出しました。また、彼らは、クラリネット、ボンボやシンバルなどを駆使して、現代的なリズムやメロディーを融合させています。
さらに、ザペロコは、タンボリート(Tamborito)やアボサオ(Abozao)といったコロンビアやパナマの伝統的なリズムを演奏し、ヨーロッパ、アフリカ、先住民の音楽的影響を融合させた作品を生み出しています。そのため、彼らの音楽は過去と未来をつなぐ架け橋となり、太平洋地域の音楽文化を次世代に伝える重要な役割を果たしているということができます。
まとめ
チリミア(Chirimía)は、コロンビアの太平洋沿岸地域で生まれた音楽ジャンルです。これは「チミリア」という楽器を使って演奏されることから、このような名前で呼ばれています。
また、このコロンビア音楽は単なる楽器や音楽スタイル以上のものであり、コロンビア太平洋地域の文化的アイデンティティを象徴する存在です。戦争の音楽から祭りの音楽まで、その音色は地域の人々にとって、精神的な支えであり、誇りの象徴でもあります。そして、現在でもザペロコのようなグループによりこの伝統が守られ、さらに発展していっています。とても興味深い音楽ジャンルですので、演奏を聴く機会があれば、ぜひ聴いてみてくださいね。
以上、今回はコロンビアの太平洋沿岸地域で生まれた音楽ジャンル「チリミア」について紹介しました。
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