こんにちは、Ponmigo(ポンミーゴ)です。
このブログでは、ラテン音楽とラテンダンスについて紹介しています。
中南米で聞かれているバルスってどんな音楽?
それぞれの「バルス」にはどんな特徴があるの?
ヨーロッパ「ワルツ」と中南米「バルス」の違いは?
今回は、中南米で聞かれているワルツについて紹介します。
この記事を読むことで、中南米で聞かれているワルツはどのようなものなのか、そしてそれぞれどのような特徴があるのか知ることができます。
ワルツはどんな音楽? 簡潔に紹介!
中南米で聞かれている中南米スタイルのワルツについて紹介する前に、元来のワルツについて簡潔に紹介しますね。
ワルツは、12世紀にオーストリアのチロル地方(Tirol)で生まれた音楽&ダンスで、これは現在、世界で最も人気のある音楽&ダンスのひとつとして考えられています。
また、この音楽の最大の特徴は「強拍、弱拍、弱拍」の3/4拍子だといえ、ダンスもこのリズムに合わせて踊られます。
この音楽は中南米へは、19世紀ごろに広まったと考えられています。
中南米の「バルス」について紹介!
では、中南米のワルツについて見ていきましょう。
まず、第一に明確にしておきたいのは、中南米(スペイン語圏)ではワルツは「バルス(Vals)」と呼ばれており、ワルツとは呼ばれていません。
中南米には、いくつかの「バルス」スタイルがあり、それぞれその国の音楽要素を取り入れて独自のスタイルを確立しているため、国によって特徴が異なります。
中南米で聞かれているバルスには以下のようなものが挙げられます。
- バルス・ペルアノ(Vals Peruano)
- バルス・メヒカノ(Vals Mexicano)
- バルス・ベネソラノ(Vals Venezolano)
- バルス・タンゴ(Vals Tango)
- バルス・チロテ(Vals Chilote)
- バルス・エクアトリアノ(Vals Ecuatoriano)
では、それぞれの中南米の「バルス」スタイルについてひとつずつ解説していきますね。
バルス・ペルアノ
バルス・ペルアノ(Vals Peruano)はペルーのワルツのことを指しています。
ちなみに、これはバルス・クリオージョ(Vals Criollo)とも呼ばれています。
これは19世紀から20世紀にかけてリマやペルー沿岸の大部分で発展した音楽で、ペルーの黒人リズムの影響も受けています。
バルス・ペルアノはギター、バイオリン、ハープ、カスタネット、アコーディオンなどの楽器を使って演奏されます。
また、バルス・ペルアノの有名な作曲家や演奏家は、以下のような人が挙げられます。
- フェリペ・ピングロ・アルバ(Felipe Pinglo Alva)
- ロス・モロチュコス(Los Morochucos)
- ロス・エンバハドーレス・クリオージョス(Los embajadores Criollos)
- チャブカ・グランダ(Chabuca Granda)
- ルチョ・デ・ラ・クーバ(Lucho de la Cuba)
- ホセ・エスカハディージョ(José Escajadillo)
バルス・ペルアノの全盛期は1940年代と1950年代で、当時、この音楽はペルーの音楽生産のほとんどを占めていました。
このバルスは、伝統的なワルツに比べ、ステップが短く、通常より速いです。
さらに、バルス・ペルアノは、愛、リマの特異性、愛国的なテーマや、スポーツからインスピレーションを得ています。
バルス・メヒカノ
バルス・メヒカノ(Vals Mexicano)はメキシコのワルツのことを指します。
ワルツは1810年から1815年にかけて、オーストリア/ドイツからメキシコに上陸し、瞬く間に人気を博しました。
メキシコでは、ワルツはメキシコ文化とマリアッチバンドに受け入れられ、吸収されました。
そのため、バルス・メヒカノは、マリンバやマリアッチの演奏で使われる複数のギターなどで演奏されます。
このバルスは、標準的なワルツと同じ基本的なリズムパターンに従っていますが、メロディーはスペイン音楽の影響を強く受けています。
また、バルス・メヒカノの特徴は、ゆっくりでのびのびとしたリズムが特徴的だといえます。
筆者個人的には、バルス・メヒカノは他の中南米のバルスに比べて、より本来(オーストリアやドイツ)のワルツに近い気がします。
バルス・メヒカノの曲を紹介!
ここで、一曲、バルス・メヒカノの曲を紹介しますね。
この曲は、1888年にメキシコの音楽家フベンティーノ・ロサス(Juventino Rosas)が作曲したワルツで、「ソブレ・ラス・オラス(Sobre Las Olas)」といいます。
ちなみに、この曲名はスペイン語で、「波の上」という意味があります。
このワルツは映画やテレビ、サーカスの綱渡りや、あらゆるショーに使われる曲です。
とてもゆっくりで、のびのびとしていますよね。
バルス・ベネソラノ
バルス・ベネソラノ(Vals Venezolano)はベネズエラのワルツのことを指します。
ベネズエラでは、サロン・ワルツとポピュラー・ワルツの2つのスタイルがあります。
(ちなみに、私の感覚では、ベネズエラのワルツの9割以上はポピュラー・ワルツです)
サロン・ワルツで、演奏のために好んで使われる楽器はピアノです。
一方で、ポピュラー・ワルツは、ベネズエラの各地域の代表的な楽器を用いて演奏され、主にアンデス地方とベネズエラの中西部で演奏されています。
アンデス地方では、バイオリンとバンドラ(bandola)と呼ばれるギターのような弦楽器が独奏楽器となり演奏されます。
バルス・ベネソラノの演奏動画を紹介!
以下の動画は、バルス・ベネソラノを演奏しているものです。
先ほど紹介したメキシコのものとは、ゆっくりめで、流れるようなメロディーという点では一緒ですが、全然違う雰囲気がありますよね。
タンゴ・バルス
タンゴ・バルス(Tango Vals)はアルゼンチンで踊られるワルツスタイルのことを指します。
これは、アルゼンチンタンゴにワルツが導入されたことでできたものです。
また、タンゴ・バルスは、3/4拍子で踊られます。
バルス・チロテ
バルス・チロテ(Vals Chilote)はチリのチロエ(Chiloé)諸島で発展したワルツのことを指しています。
このバルスは男女が一緒に踊る典型的なワルツと同じ特徴を持っています。
ですが、バルス・チロテはジャンプやカップルの抱きつき方が激しく行われることが非常に特徴的です。
バルス・エクアトリアノ
エクアドルのワルツはバルス・エクアトリアノ(Vals Ecuatoriano)と呼ばれます。
エクアドルの中でも一番代表的なバルスのスタイルは、首都キト(Quito)のスタイル、通称、「バルス・キテーニョ(Vals Quiteño)」です。
バルス・キテーニョはキトの上流社会の踊りのために作られ、19世紀末から20世紀初頭の大統領の大宴会で歌われた音楽でした。
このスタイルのバルスはエクアドルのエスメラルダス(Esmeraldas)やキトに移民したフランス人たちにより持ち込まれたものをもとにしています。
そのため、これはヨーロッパワルツのオリジナリティを尊重したスタイルだといえます。
まとめ
中南米で、ワルツは「バルス」と呼ばれており、ペルー、メキシコやベネズエラなど、さまざまな国で聞かれています。
それらの音楽的特徴は国によって異なっており、それぞれの国に合わせて発展していったものだといえます。
そんな中南米のバルスのなかでの、私の一番のおすすめは「バルス・ベネソラノ(ベネズエラのワルツ)」です。ギターの音色がとても癒されますよね。
ちなみに、バルス・ベネソラノ(ベネズエラのワルツ)は、コロンビアやエクアドルでは、パシージョ(Pasillo)という名で知られていますよ。
以上、今回は中南米のバルスについて紹介しました。
コメント
最近、エクアドルの作詞・作曲家で、ピアノ等の演奏家である。
Paco Godoy氏の動画をよく見ています。
新曲で、プロモーション中なので応援してあげてください。
Sagrada dicha Vals del Autor y Compositor: PACO GODOY Canta: PAMELA ABANTO Perú y Ecuador unidos
https://www.youtube.com/watch?v=XwZvlMrF1KM