こんにちは、Ponmigo(ポンミーゴ)です。
今回は本場の人たちでも混乱してしまう、「サヤ(Saya)」と「カポラル(Caporal)」の違いについて解説していきます。
本場の人でも混乱する!?サヤとカポラルについて
サヤ(Saya)とカポラル(Caporal)はどちらも南米ボリビア発祥の音楽、ダンスです。
そして、このふたつの音楽は多くの場合、サヤ・カポラル(Saya Caporal)といかにもひとつのジャンルのように呼ばれます。
これらのダンスは関連する2つのジャンルですが、サヤとカポラルには多くの違いがあります。
では、具体的に違いを見ていきましょう!
サヤとカポラルの歴史的背景
サヤについて
サヤはボリビアのユンガス(Yungas)地方に伝わるアフリカ系の踊りです。
アフリカから連れてこられた奴隷が定住した場所の一つであるコラオ高原に定住したアフロ南米の人々の音楽、かつダンスです。
サヤは単なるダンス、踊り、メロディーではなく、知識や文化を表現する手段であり、サヤを通してアフリカ系の人々は若者にメッセージを伝え、それは教育として世代から世代へと受け継がれています。
この音楽は有色人種にとって精神的、文化的、社会的表現の最大の道具となり、演奏される様々な打楽器のリズムと歌で、喜びや悲しみの感情、経験、現実を表現するのだそうです。
また現在、サヤは、ペルーやボリビアで祭礼などで演奏されたりすることもあります。
カポラルについて
カポラルはボリビアの民族舞踊で、1969年にエストラダ・パチェコ兄弟(los hermanos Estrada Pacheco)によって発表されました。
サヤとは異なり、女性の色っぽい動きや、男性によるジャンプが特徴です。
カポラルの起源は、サヤの音楽と関係があります。この踊りは、メスティーソの再現で、カポラルと呼ばれるスペイン植民地時代の監督者の権威を反映しています。
より具体的に述べると、監督官がいかに自分を押し付け、奴隷の集団に命令し、手に鞭、ブーツに鈴をつけて恐怖と権威を植え付けたかと言うことを強調しています。
ちなみに、この際の監督官(カポラル)は、スペイン人が選んだ混血またはメスティーソの男性で、ラパス県のユンガス地区でコカ、コーヒー、柑橘類、ブドウなどの生産を指揮し、黒人奴隷を担当したと言われています。
そして、現在はボリビアだけではなく、ペルーやチリなどでも踊られたり、演奏されたりしています。
俊敏なステップとノリのいいリズムで、若者の間でとても人気があります。
サヤとカポラルの音楽の違い
サヤについて
サヤは基本的に男性が演奏します。
使われる楽器はボンボ(Bombo)、レゲレゲ(Regue Regue)と細い棒で、トゥン・トゥルントゥントゥン・トゥルントゥントゥン・トゥルントゥントゥンというようなリズムを奏でます。
カポラルについて
一方、カポラルは鈴の音や太鼓、管楽器でも演奏されます。現在では、バンドが参加するさまざまなお祭りで演奏されることもあります。
カポラルのリズムについては少し注意が必要です。
というのも、カポラルのリズムの曲を「サヤ」と呼ぶ音楽グループもあり、これらは多くの勘違いを生んでいます。
ロス・カルカス(Los Kjarkas)の有名な曲である「ミ・サンバ・ミ・ネグラ(Mi Samba mi Negra)」や「サヤ・センシュアル(Saya Sensual)」などの曲はサヤとカポラルについて多くの人を混乱させた曲だといえます。
「ミ・サンバ・ミ・ネグラ(Mi Samba mi Negra)」も「サヤ・センシュアル(Saya Sensual)」もカポラルのリズムで演奏されています。
なのでサヤではないので注意が必要です。
サヤとカポラルの踊り方の違い
サヤについて
サヤの踊りは、すべてアフロボリビア人の男女によって踊られます。
女性はスカートや肩を動かしながら踊り、男性は踊るというよりかはドラムを叩いてリズムをとります。
ちなみに、サヤはペルーのアフリカ系音楽・ダンス、フェステホ(Festejo)に似ているといえます!
カポラルについて
カポラルの踊りは植民地時代の農場で同族の奴隷を管理していた監督官をイメージしており、ブーツにつけられたカポラルの鈴が、足につけられた鎖の音を意味します。
カポラルの一番基礎的な踊り方は、手を叩いたり、腰を振りながら、「どんどん、どんどん」と足を「左左、右右」と2回ずつ踏み鳴らして踊ることが多いです。
言葉で説明してもわかりにくいと思うので、こちらの動画を参考にしてみてください。
サヤとカポラルの衣装の違い
サヤについて
サヤの服装はシンプルです。
女性たちはリボンで飾られた鮮やかな色のブラウスを着ています。スカートは足首より少し上の丈で、こちらもリボンで飾られています。腕には布をたたんでかけ、手には帽子を持ちます。
男性は白いシャツに腰に幅広の帯を巻き、ロールアップしたズボンにサンダル履きます。
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カポラルについて
カポラルの衣装はサヤに比べるととてもカラフルで、男性の場合、スパンコールでいっぱいの衣装とブーツについた賑やかなベルが目を引きます。
カポラルの衣装は、当初は軍服風の布製のズボンでしたが、後にフレアーのズボンと装飾のついたシャツ、腰に巻くブランケットに変わり、さらにスパンコールで装飾された幅広のベルトに変更されました。
鈴付きのブーツを履き、手に帽子を持ちます。
女性たちはスパンコールで飾られた短いスカートをはいて、なかに履いている「セントロス(centros)」を見せながら色っぽく腰を動かし踊ります。
また、ステップの絶え間ない腰の動きに合わせてひらひらと動く短いスカートを着用し、その際にヒールの高い靴を履きます。
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名称を正しく呼ぶことで、本来のダンスを知れる
サヤとカポラルのようにリズムを勘違いしてしまったりすることは本来の音楽やダンスの価値を潰している気がします。
そのため、ダンスは正しく呼ぶことで、これらの名称が誤って伝えられることがなくなり、ありのままを知ることができるようになると思います。
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